唐津くんち13番曳山 「鯱」修復の紙
まず唐津くんちの説明です。
こちらをクリックしてご覧ください。
唐津くんち、曳山、曳山の説明
今回唐津くんち13番曳山「鯱(しゃち)」1876(明治9)年制作が31年ぶり4回目の保存修復工事を行われました。
本来、修復の紙はセオリーとして当時と同じ紙の原料、漉き方等考えて紙を漉きます。自分が勉強させて頂いた高知では色んな紙関係の修復用の紙が作られていました。以前高知で勉強させて頂いた縁で「九州国立博物館の修復の紙を漉きませんか?」と嬉しいお誘いいただきましたがその時は修復用の紙より一般の生活になじむ紙を作りたいという事で丁寧にお断りしました。独立して13年目。
色んな方にお声をかけて頂き13番曳山「鯱(しゃち)」の修復の紙を作らせて頂きました。なぜ今回修復用の紙を漉きたいと思ったかと言うと町は違いますが自分も小さい頃は曳山を曳いていて今は子供二人がお世話になっているからです。そして唐津くんちの修復の紙の面白いのはその当時当時作られていた紙を使って修復しているところにあります。昔は紙は貴重でした。大福帳の紙を貼ったり襖の裏打ちの紙など色々と再利用して貼ってありました。今回自分が大切にしたテーマは繊維に負担がかからない様に処理した原料を使い薄くて強い紙を作ること。2種類の厚さを変えて漉きました。また何十年後かに修復されたときに恥ずかしくない紙を。
普段は進んでしない作業も唐津くんちの修復の紙という事で子供達も喜んで楮の下処理「へぐり」を手伝ってくれました。
紙を貼る場所
中から見た尾の部分です。朱色ではない部分に和紙を貼ります。所々紙が浮いているので剥がしてある状態です。
輪島市の田谷漆器店の職人さんが長い間唐津に滞在されて丁寧に修復作業をされました。
今回、嬉しいことに傷んだ紙の部分が少なく修復に使用された箇所はごく一部ですが自分の紙が曳山の一部になるという幸せを感じながらとても楽しく仕事をさせて頂きました。いろんな方のお声掛けで今回仕事を頂きました。本当にありがとうございます!
今現在、漆塗りも完了してあとは組み立てるのみの状態だそうです。
新しい漆を塗装された鯱を早く見たいところですが残念ながらこのご時世2020唐津くんちは開催されません。
来年は開催できるよう心より願っております。